フィード・ワンは2014年にできた比較的新しい飼料会社です。
しかしその潜在能力は凄まじい。
飼料産業はBtoB(企業対企業)のビジネスのため、世間一般の認知度は低いが、飼料は家畜や養殖に欠かせない極めて重要なもの。
飼料はトウモロコシなどの農作物を加工して作られる。
より美味しい魚や牛に育つように日々飼料も研究が進んでいます。
飼料のもとのトウモロコシなどは海外から安く仕入れるのが基本です。
ですから、飼料会社は大手商社とのつながりが強いのです。
ちなみにフィード・ワン株式会社は三井物産系統。
養鶏用の飼料から、養豚用、養殖魚用まで幅広い飼料を販売しています。
さらに、飼料を販売するだけでなく、そのノウハウを養殖にも活かそうということで、マグロの養殖業なども行っている非常にアクティブな会社です。
日本はマグロ需要が強いので、非常に有力な収入源になるはずです。
今回は、世界的な食料不足という問題の解決に取り組む注目企業、フィード・ワンの決算を見ていきたいと思います。
賃借対照表 BS: Balance Sheet
BSとは?
右側に「資産」
左側に「負債」と「純資産」
を並べたシートのこと。
左右それぞれの合計値が必ず同じになるのが特徴。
「フィード・ワン」のBS

損益計算書 PL: Profit and Loss Statement
PLとは?
一定期間(3ヶ月間、1年間等)のお金の損益をまとめたもの。
1.売上総利益(粗利)
売上総利益(粗利)=売上高-売上原価
2.営業利益
営業利益=売上総利益-人件費など
3.経常利益
経常利益=営業利益+営業外損益(株など)
4.税引前当期利益
税引前当期利益=経常利益-特別損益(事業の売却など)
5.当期利益
当期利益=税引前当期利益-法人税など
「フィード・ワン」のPL

経常利益以降のグラフを下に拡大しました。

総資本経常利益率(利回り)
総資本経常利益率(利回り)とは?
総資本経常利益率は、会社の利益効率を知る最も基本的な指標のひとつです。
自己資本と他人資本を足し合わせた総資本をベースに、会社がどの程度の利益を出したかを計算したのが、総資本経常利益率。
つまり、会社の利回りと言い換えてもいいでしょう。
利回りのいい会社のほうが、銀行にも投資家にも従業員にとってもプラスになります。
経営者はこの総資本経常利益率を上げることが重要な仕事です。
利回り(%)=経常利益÷総資本(自己資本+他人資本)×100
*BSとPLから算出
「フィード・ワン」の総資本経常利益率(利回り)

流動比率
流動比率とは?
流動比率とは、短期の安全性を表す指標のひとつ。
流動比率が大きいほど、短期の安全性が高い(資金がショートしにくい)。
流動比率100%以下だと資金繰りに苦労をしている印象。
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
*BSから算出
「フィード・ワン」の流動比率

流動比率は約100%以上で推移しており、短期の安全性は問題なし。
自己資本比率
自己資本比率とは?
自己資本比率とは、長期の安全性を示す指標のひとつ。
自己資本比率が高いほど、長期の安全性が高い。
一つの指標は30%以上であること。
自己資本比率(%)=自己資本(純資産)÷総資本×100
*BSから算出
*自己資本:返さなくていいお金
「フィード・ワン」の自己資本比率

自己資本比率は年々増加傾向で、長期の安全性もそれに比例して向上しています。直線はひとつの目安です。
売上高対総利益率
売上高対総利益率とは?
売上高対総利益率とは、収益性を表す指標のひとつ。
売上高総利益率が高いほど、売上原価がかかってない効率的な経営といえる。
売上高総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100
*PLから算出
売上高対営業利益率
売上高対営業利益率とは?
売上高対営業利益率とは、収益性を表す指標のひとつ。
売上高営業利益率が高いほど、人件費等がかかってない効率的な経営といえる。
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
*BSから算出
売上高対経常利益率
売上高対経常利益率とは?
売上高対経常利益率とは、収益性を表す指標のひとつ。
売上高対経常利益率が高いほど、本業以外の稼ぎがあり、良好な経営の助けとなる。
売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100
*PLから算出
「フィード・ワン」の各種利益率まとめ

売上高対経常利益率が約2%と少し物足りない印象。
従業員数の推移(グループ全体)

創立時が最も人数が多く、その後徐々に人員を減らして少数精鋭の経営を行っている印象を受けます。
だいたい900人規模で安定した売上が見込めるのがポイントですね。
労働分配率
労働分配率とは?
生産性を表す指標のひとつ。
粗利に占める人件費の割合なので労働分配率が低いほど、人件費に回せるお金がある。
すなわち、給料が上がる見込みが大きい、ということ。
労働分配率(%)=人件費÷売上総利益(粗利)×100
*PLから算出
「フィード・ワン」の労働分配率

従業員あたりの売上総利益
従業員あたりの売上総利益とは?
従業員あたりの粗利とは、生産性を表す指標のひとつ。
この値が高いほど従業員ひとりひとりの付加価値が高いことを意味する。
従業員ひとりあたりの粗利(円)=売上総利益(粗利)÷従業員数
*PLから算出
「フィード・ワン」の従業員あたりの売上総利益

一人あたりの生産性はFY2016が最も高かった。
従業員の平均年収

従業員の平均年収は創業当初が400万円。
その後は、右肩上がりで平均年収も増加し、社員のモチベーションは高く保てていると考えます。
FY2018は平均年収は約670万円。
引用元:
フィード・ワン株式会社 有価証券報告書