農業機械

リーマンショックを黒字で乗り越えた農業機械メーカーの雄 クボタの財務分析

ドラマ「下町ロケット」に登場したGPSを内蔵した無人トラクターに感動しました。

こういった技術がすでに実用化しているのは耳に挟んではいましたが、ドラマを通してみると、その技術に対する感動が違います。

無人トラクターや無人稲刈り機(コンバイン)など、すでに多くの農業機械が無人運転を実現し、メーカーも徐々に増えてきています。

農業機械メーカーとして日本のみならず、世界で大きな存在感を放つのが株式会社 クボタです。

クボタのトラクター、コンバインのリンクはこちら

実は2008年9月に起きたリーマンショックを黒字で乗り越え、今では利益を大きく伸ばしているのがクボタなのです。

最近はコロナショックの影響もあり、個人的には再度農業への関心が高まっています。

史上最高の投資家と言われるウォーレン・バフェットも保有している航空業界の株を売却し、「世界は変わる」と声明を出しました。

これは将来的に、国と国との人の移動が大きく制限されることを意味します。

また、これは人だけの問題ではなくなるかもしれません。

食糧自給率が低い日本は、特に家畜の飼料などを海外の輸入に頼っています。

農作物は人間が生きるために必須のものです。

海外の農作物に頼ってばかりではいられません。

輸入に頼り切ってはこれまで国内で積み上げてきた農業の技術や知見がなくなってしまいます。

農業人口も減り、農家の平均年齢も上がる一方。

こうした状況を打破するためのスマート農業を牽引しているのがクボタです。

前述した無人機械は人手不足問題を大いに解決することができるでしょう。

また、優れた製品を海外へも輸出し、外貨を稼ぎ、日本への技術信用を上げています。

こうしたクボタの財務状況を2008年までさかのぼって調べてみました。

従業員の平均年収にも言及しております。

それではどうぞ。

注)クボタの決算は毎年12月31日締めとなっています。

賃借対照表 BS: Balance Sheet

BSとは?

右側に「資産」

左側に「負債」と「純資産」

を並べたシートのこと。

左右それぞれの合計値が必ず同じになるのが特徴。

クボタのBS

FY2008にはおそらくリーマンショックの影響で資産が僅かに減っていますが、それでも財務体質に大きな変化は見られません。

FY2019においても財務体質はほぼそのままで、トータル資産額が約1.2兆円となるまでに成長しています。

損益計算書 PL: Profit and Loss Statement

PLとは?

一定期間(3ヶ月間、1年間等)のお金の損益をまとめたもの。

着目すべき5つの利益

1.売上総利益(粗利)

売上総利益(粗利)=売上高-売上原価

2.営業利益

営業利益=売上総利益-人件費など

3.経常利益

経常利益=営業利益+営業外損益(株など)

4.税引前当期利益

税引前当期利益=経常利益-特別損益(事業の売却など)

5.当期利益

当期利益=税引前当期利益-法人税など

クボタのPL

FY2009に比べ、FY2018,2019では売上高が大いに上昇していることがわかります。

経常利益以降のグラフを下に拡大しました。

FY2008ではおそらくリーマンショックの影響で特別損失が計上されています。

しかし、最終的な当期純利益は黒字をしっかりキープ。

それ以降は常に黒字を安定的にキープできています。

総資本経常利益率(利回り)

総資本経常利益率(利回り)とは?

総資本経常利益率は、会社の利益効率を知る最も基本的な指標のひとつです。

自己資本と他人資本を足し合わせた総資本をベースに、会社がどの程度の利益を出したかを計算したのが、総資本経常利益率。

つまり、会社の利回りと言い換えてもいいでしょう。

利回りのいい会社のほうが、銀行にも投資家にも従業員にとってもプラスになります。

経営者はこの総資本経常利益率を上げることが重要な仕事です。

計算式

利回り(%)=経常利益÷総資本(自己資本+他人資本)×100

*BSとPLから算出

クボタの総資本経常利益率(利回り)

流動比率

流動比率とは?

流動比率とは、短期の安全性を表す指標のひとつ。

流動比率が大きいほど、短期の安全性が高い(資金がショートしにくい)。

流動比率100%以下だと資金繰りに苦労をしている印象。

計算式

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

*BSから算出

クボタの流動比率

短期の安全性も10年以上に渡って大きな変化なく、安定している。

自己資本比率

自己資本比率とは?

自己資本比率とは、長期の安全性を示す指標のひとつ。

自己資本比率が高いほど、長期の安全性が高い。

一つの指標は30%以上であること。

計算式

自己資本比率(%)=自己資本(純資産)÷総資本×100

*BSから算出

*自己資本:返さなくていいお金

クボタの自己資本比率

長期の安全性も10年以上に渡って大きな変化なく、安定している。

売上高対総利益率

売上高対総利益率とは?

売上高対総利益率とは、収益性を表す指標のひとつ。

売上高総利益率が高いほど、売上原価がかかってない効率的な経営といえる。

計算式

売上高総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

*PLから算出

売上高対営業利益率

売上高対営業利益率とは?

売上高対営業利益率とは、収益性を表す指標のひとつ。

売上高営業利益率が高いほど、人件費等がかかってない効率的な経営といえる。

計算式

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

*BSから算出

売上高対経常利益率

売上高対経常利益率とは?

売上高対経常利益率とは、収益性を表す指標のひとつ。

売上高対経常利益率が高いほど、本業以外の稼ぎがあり、良好な経営の助けとなる。

計算式

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

*PLから算出

クボタの各種利益率まとめ

FY2019は売上高対営業利益率が低いのが気になります。

労働分配率

労働分配率とは?

生産性を表す指標のひとつ。

粗利に占める人件費の割合なので労働分配率が低いほど、人件費に回せるお金がある。

すなわち、給料が上がる見込みが大きい、ということ。

計算式

労働分配率(%)=人件費÷売上総利益(粗利)×100

*PLから算出

クボタの労働分配率

労働分配率は、FY2009に比べ、FY2019のほうが増加傾向です。

社員規模の増加、平均給与アップが原因かもしれません。

従業員あたりの売上総利益

従業員あたりの売上総利益とは?

従業員あたりの粗利とは、生産性を表す指標のひとつ。

この値が高いほど従業員ひとりひとりの付加価値が高いことを意味する。

計算式

従業員ひとりあたりの粗利(円)=売上総利益(粗利)÷従業員数

*PLから算出

クボタの従業員あたりの売上総利益

一人あたりの売上総利益は、大きな変化は見られていません。

従業員数の推移

従業員数は増加傾向にあります。

リーマンショック後のFY2009にわずかに減っていますが、その後1万人を超える従業員を抱え、雇用確保に大きく貢献していると思います。

従業員の平均年収

従業員の平均年収はFY2019で800万円超え。

メーカー従業員にとっては、非常に魅力的な数字かと思います。

労働組合と日頃の従業員の方々の努力の賜物かと思います。

引用元:

株式会社クボタ 有価証券報告書等

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